建設仮勘定とは
建設仮勘定は、固定資産を作るのにかかったお金をいったん計上しておく仮勘定科目です。
営業の用に供する目的で建設中・製作中の機械など完成前の有形固定資産への支出等を仮に計上しておくための勘定科目となります。有形固定資産が完成し、事業の用に供した時点で、本勘定に振り替える必要があります。
建設仮勘定の定義で第一号から第七号にあげられているのは、建物、建物付属設備、構築物、機械及び装置と付属設備、船舶や水上運搬具、車両などの陸上運搬具、工具器具備品、土地でとなります。
建設仮勘定に含めるべき支出
建設中で建設のために充当した材料費や前払費用を建設仮勘定として計上します。
前払いした工事費、材料費、建築作業員の労務費用)だけでなく、そのために購入した機械設備や備品などの費用も計上が可能です。
- 建設請負工事の手付金など
- 建設のために購入した資材・機械などの費用
- 地鎮祭、上棟式の費用
- 建設などのために直接支払われた労務費・経費
- 借入金の支払利息※
※借入金の支払利息を建設仮勘定に一度計上したら固定資産の取得価格に含めることになります。
もし費用処理したい場合は、建設仮勘定に含めず、支払いの際に費用処理することが必要です。
会計処理
追加した時の処理
固定資産の建設、政策のために支出した際に経理処理します。
前払金とは区別して処理を行います。
建設仮勘定/現金
自社の社員が製作した場合
自社の社員が製作を行なった場合は、製作に要した人件費、労務費を建設仮勘定に振り替えます。
建設仮勘定/給料(または工賃)
減価償却の有無
建設仮勘定は減価償却の対象外です。
「費用収益対応の原則」の考えから、固定資産は使い始めてから費用化する(減価償却費を計上する)のが正しいといえます。
完成時の処理
固定資産が完成し納品を受けた際に、今まで計上した建設仮勘定を本勘定(各種の固定資産)に振替処理をします。
また納品と同時に事業の用に供する場合は減価償却も行いましょう。
固定資産(建物など)/建設仮勘定
減損の有無
建設仮勘定は減損の対象になりえます。建設の延期・中止があったときなど発生し、投資した額(建設にあたり支出した額)を回収できない場合です。
この場合は建設仮勘定に減損の兆候が見られると考え、減損損失の認識と測定の結果、回収可能額が帳簿価額を下回る場合は、回収可能額まで帳簿価額を切り下げることになります。
決算期末日の処理
決算末日での特殊な仕訳はありません。
そのまま建設仮勘定として残高を残しても大丈夫です。
ただし、本当に残高を残しても大丈夫か(完成して事業用に供してないか)を責任者に確認した方が良いでしょう。
完成しなかった場合
建設や製作の中止があったり、建設中のものを取り壊すなどした際は「除却」を行い帳簿上から残高を無くすことは可能です。
その際には除却にたりうる理由となる根拠資料を準備して除却処理をするようにしましょう。
建設仮勘定の管理体制
建設仮勘定は工事の進捗状況、支出のタイミングが掴みにくい場合が多いです。
経理担当者は現場の人と連携を取り計上漏れを防ぐ体制づくりが必要です。
例えば、工事ごとにプロジェクト番号を割り振り、経理に届く支払い依頼にプロジェクト番号を記載してもらうことで計上漏れを防ぐことにつながります。
税金の扱い
消費税について
建設仮勘定の処理では建設に関わる課税仕入について、支出の都度、仕入税額控除を行います。原則としては毎期、課税仕入を確認し仕入税額控除を行う必要があります。
例外的にその都度仕入税額控除をするのではなく、引き渡しのタイミングで行うことも可能です。
固定資産税について
建設仮勘定の段階で課税されることはありません。
固定資産税は使用状況ではなく「固定資産課税台帳」に登録されてるかどうかで決まります。
固定資産課税台帳に登録される資産は不動産登記のあるものです。不動産の所有者となった時に不動産登記が必要で、建設中の建物が完成して納品された時に所有したと考え登記手続きを要します。
償却資産税
建設仮勘定は減価償却の対象外のため償却資産税は課されません。
しかし、会計上は建設仮勘定で処理されている資産でも、償却資産税の賦課期日である毎年1月1日の時点で事業の用に供することができると判断されるものは、償却資産税の対象になります。
また実際に事業での使用を開始していても、建設が完了していてすぐにでも使える状態であれば、事業の用に供すると判断されます。
参考にした会計基準、法律
国税庁HP:タックスアンサー
東京都主税局HP:固定資産税(焼却資産税)