20代は知識不足だったり、会計の全体像を掴めていないことが多いです。
目的なく仕事をしていると「経理は企業活動の動きを映し出す」という単純なことを忘れ、ただの数字集計係になります。
若いうちから基礎を固め、キャリアの最高到達点であるCFOを意識して仕事に取り組むことで、今後のキャリアに大きな影響を与えるでしょう。
今回は経理のマインドと基礎を育てる初歩的な本、管理会計・財務会計・税務会計の各分野で役立つ本、最高到着点であるCFOの仕事のイメージを持てるようになる本を紹介します。
基礎固めが終わったら、ぜひ上級者向け書籍まで手を伸ばしてみてください。
経理マインドを育てる
どんな仕事にも取り組む姿勢(マインド)は重要です。
仕事の型がなく頭が柔らかいうちに、経理としての正しいマインドを育てましょう。
お金の向こうに人がいる
経済活動を営んでいるのは営業職や工場の製造職の人達です。
経理は数字を扱うのが仕事ですが、自分の仕事だけを考えているとヒト・モノ・カネ・情報が追えず集計係に終わってしまいます。
初めて経理に配属された人は仕事に取り掛かる前にこの本を読んで、報告されてくる数字がどのような経緯で集計されるかを意識すると今後の経理人生に大いに役立つはずです。
99%の社長が知らない銀行とお金の話
執筆者は中小企業経営で有名な小山昇氏です。
ご自身で経営塾を運営してますが、本業はダスキンの提携会社として株式会社武蔵野を運営しており実業でも手堅く経営している印象があります。
中小企業ならではの資金繰りや銀行の付き合いをご自身の経営経験をもとに書いております。
私も実際に銀行から借入をする場合に、担当銀行員が行内で稟議を取るにはどのような情報が欲しいかを意識して適切な情報提供ができるように商談に臨みました。
当時は不動産運営を事業としている会社で働いていたので、資金調達に大いに役に立った一冊です。
経理の基礎を学べる本
仕事の全体像を掴み、自分なりの仕事の意味を見つけていきましょう。
経理は1年間を通して初めて見えてくることも多いです。
あせらず基礎を固めることが大事です。
マンガで優しくわかる経理の本
経理の仕事の1日の流れをわかりやすくマンガで教えてくれます。
新卒で経理に配属される人や転職で採用された人は、仕事を本格的に始める前にイメージをつかめるのでおすすめです。
経理に配属されたら読む本
経理の1年間の流れや、日々の業務について細かく説明されている本です。
いつも馴染みがある経費精算以外にも、月次決算、年次決算のスケジュール感や財務諸表の意味や経理特有の数字のルールなどを教えてくれます。
初めて配属された人や経理1年目の人は「マンガでやさしくわかる経理の本」を読み終えた後にこの本を読むと経理がどのように会社の活動を記録しているか見えてくるはずです。
私も新しく経理に配属された人にお薦めしている一冊です。
管理会計・財務会計・税務会計におすすめの本
自分が今、管理•財務•税務のどの分野で仕事をしているか、違いがわかるようになると自律する準備が整います。
まずは各分野の違いを理解していきましょう。
基本も実務知識もこれ1冊で! 管理会計 本格入門
管理会計を学問的な視点ではなく、実務でどのように活かすかを中心に記載している本です。
本書を読めば管理会計を実務で使えるよになります。
演習問題があるので、理解度を確認できるのが助かります。
管理会計をどのように活かすかを記載しているので、実務で管理会計の知識を活かしたい方におすすめです。
新版 財務3表図解分析法
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務3表の繋がりを理解するにはとても良い本です。
仕訳を起票してその科目が財務諸表にどのような影響をイメージしながら仕事をすることは、早くから経理感覚を身につけるきっかけになります。
20代でも開示料を作ったり年次決算で財務諸表を取りまとめる仕事を任される人はいます。
その人達は早くから財務諸表への影響を意識して仕事をしていたから、より上流の仕事にチャレンジできているのでしょう。
財務諸表分析(ゼロからわかる読み方、活かし方)
経理の目的は数字を月次決算、年次決算で数字を閉めることが目的ではありません。
まとめ上げられた財務会計をもとに経営資料や開示資料を作成し、経営陣の参謀として助言する必要があります。
そのため会議では先輩方の言葉はROA、ROE、在庫回転率など経営ならでは用語が飛び交います。
キャリアアップのためにも、20代のうちに財務分析の基礎を身につけることで、経営会議のような高度な会議にもついていけるようになり、今後のキャリアに大きな影響があるでしょう。
本書は財務分析の手法や言葉の意味を理解することに役立ちます。
法人税申告書の仕組みとポイントがわかる本
収益、費用、益金、損金などの基礎的な違いから、別表の記載方法までをわかりやすく解説しています。
経理としてキャリアを歩むならいずれ申告書を作成する機会も出てくると思いますが、まずは本書で網羅的に税務を把握するのがお薦めです。
税務を抑えたら税効果についてもそのまま勉強に入れるとなお良いです。
上級者向けの本
CFOは今まで習った知識を事業戦略に組み込み企業価値を高めることが求められます。
今まで学んだ知識や手法がどのように活用するか学んで、企業参謀としてのキャリアを自分のものにしていきましょう。
図解でわかる企業価値評価の全て
図解も多く財務分析の基礎を学んだ人におすすめの本です。
財務分析を行う理由は企業価値を向上させることにあります。
本書を手元に置いて企業分析をすると、対象の企業の価値を算出する手助けになります。
私の場合はM&Aや企業結合会計の時に本書を活用していきました。
ビジネススクールで身につける会計・戦略思考
上場企業の開示資料を事例として、ビジネスモデルが財務諸表にどのように表れているかを解説しています。
ビジネスモデル毎に財務諸表の形は違うので、2つを見比べて理解することで企業参謀としての下準備の知識が手に入るでしょう。
この本は日本のMBAの教材としても採用されており、著者の大津広一氏はBBT大学大学院で実際に教鞭を務めている実績もございます。
私も大津氏の講義を受講した経験がありますが、分析では鋭い部分があり、かなり勉強させていただきました。
コーポレートファイナンス 戦略と実践
ファイナンスの基礎から応用までを学べる一冊です。
現在価値の概念からDCF法による企業算出、買収、資金調達、株主還元、IR戦略といった、ファイナンスの全てがまとまった良書です。
若いうちからキャリアアップを目指すならCFOを意識して仕事に取り組む必要がありますが、「CFOの役割とは?」を理解する手助けになるでしょう。
私自身、CFOの役割を意識して仕事をすることで、20代のうちに経理の上流工程の仕事に食い込めたと感じております。